2025年のジャパンカップは、カランダガンが勝った。外国馬の勝利は2005年のアルカセット以来、20年ぶりだ。
ただ、カランダガン1頭だけを見て「今年の外国馬も来る」と判断するのは乱暴すぎる。そこで、外国馬が3着以内に入っていた時代までさかのぼって、来た馬に共通する条件を調べた。
対象は1995〜2006年の12回と2025年。1994年以前は時代が古すぎるので外し、2007〜2024年は外国馬が1頭も3着以内に来ていないので対象がない。この期間に3着以内に入った外国馬は14頭(1996年の3着同着を含む)いた。
ジャパンカップで3着以内に入った外国馬14頭
| 年 | 馬(調教国) | 年齢・性 | 人気→着順 | 前走 | 騎手 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1995 | ランド(独) | 5・牡 | 6番人気→1着 | BCターフ 12着 | M.ロバーツ |
| 1995 | エルナンド(仏) | 5・牡 | 7番人気→3着 | BCターフ 5着 | C.アスムッセン |
| 1996 | シングスピール(英) | 4・牡 | 4番人気→1着 | BCターフ 2着 | デットーリ |
| 1996 | ストラテジックチョイス(英) | 5・牡 | 10番人気→3着同着 | 伊ジョッキークラブ大賞 3着 | R.クィン |
| 1996 | エリシオ(仏) | 3・牡 | 1番人気→3着同着 | 凱旋門賞 1着 | O.ペリエ |
| 1997 | ピルサドスキー(英) | 5・牡 | 3番人気→1着 | 英チャンピオンS 1着 | M.キネーン |
| 1999 | インディジェナス(香港) | 6・セン | 12番人気→2着 | 香港 1000m戦 10着 | D.ホワイト |
| 1999 | ハイライズ(UAE) | 4・牡 | 7番人気→3着 | 英チャンピオンS 6着 | デットーリ |
| 2000 | ファンタスティックライト(UAE) | 4・牡 | 2番人気→3着 | BCターフ 5着 | デットーリ |
| 2002 | ファルブラヴ(伊) | 4・牡 | 9番人気→1着(中山) | 凱旋門賞 9着 | デットーリ |
| 2002 | サラファン(米) | 5・セン | 11番人気→2着(中山) | 米 芝6.5F戦 4着 | C.ナカタニ |
| 2005 | アルカセット(英) | 5・牡 | 3番人気→1着 | 英チャンピオンS 5着 | デットーリ |
| 2006 | ウィジャボード(英) | 5・牝 | 3番人気→3着 | BCフィリー&メアターフ 1着 | デットーリ |
| 2025 | カランダガン(仏) | 4・セン | 4番人気→1着 | 英チャンピオンS 1着 | M.バルザローナ |
※2002年は中山芝2200mで行われた年で、東京の2400mとは条件が違う。
ジャパンカップで来た外国馬の傾向
傾向1:前走は英チャンピオンSかBCターフ系
14頭の前走を並べると、はっきりした偏りがある。英チャンピオンSから来た4頭は1着3回・3着1回。BCターフ系(BCフィリー&メアターフを含む)から来た5頭は1着2回・3着3回。
勝ち馬6頭のうち5頭は、前走が英チャンピオンSかBCターフ系だった。残りの1頭は、中山で行われた2002年のファルブラヴだけだ。
傾向2:凱旋門賞から直行した馬は、東京では勝っていない
凱旋門賞馬が来日すれば、当然人気になる。ところが1996年の凱旋門賞馬エリシオは1番人気で3着、1999年の凱旋門賞馬モンジューも1番人気で4着に終わった。
凱旋門賞から直行して勝ったのは、2002年のファルブラヴだけ。それも東京ではなく、中山の2200mだった。凱旋門賞は、ジャパンカップの前哨戦としては実績がない。
傾向3:前走の着順は関係ない
前走を勝っていたのは、14頭中4頭だけだ。1995年のランドはBCターフ12着から、2002年のファルブラヴは凱旋門賞9着から勝っている。
外国馬は、前走で負けていても割り引く必要はない。見るべきは着順ではなく、どのレースを使ってきたかだ。
傾向4:その年に母国以外でも走っている「遠征慣れ」した馬
ほぼ全頭が、ジャパンカップの前に母国以外の国でもレースを使っていた。ランドはイタリア、フランス、アメリカ。ウィジャボードはUAE、香港、アイルランド、アメリカ。カランダガンもUAEとイギリスを回ってから来日している。
反対に、その年をフランス国内だけで過ごし、初めての遠征だったエリシオは、1番人気で3着に終わった。長距離輸送と環境の変化に慣れているかどうかは、思った以上に大きい。
傾向5:4〜5歳が中心で、一流の陣営が勝ちに来ている
14頭中11頭が4〜5歳。3歳はエリシオ(3着)だけだ。
デットーリが乗った馬は6頭いて、そのうち3勝している。調教師もM.スタウト(2勝)、ゴドルフィン(3着2回)と、世界の一流厩舎が並ぶ。記念参加ではなく、本気で勝ちに来た陣営の馬が来ている。
傾向6:時計の速い馬場でも勝てる
アルカセット(2分22秒1)とカランダガン(2分20秒3)は、どちらもレコードで勝っている。「外国馬は日本の高速馬場が苦手」という見方は、来る馬には当てはまらない。
勝ち馬の傾向まとめ
| 傾向 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| 前走は英チャンピオンSかBCターフ系 | 勝ち馬6頭中5頭 | ピルサドスキー、アルカセット、カランダガン |
| 凱旋門賞直行は東京で勝てない | 凱旋門賞馬が1番人気で3着、4着 | エリシオ、モンジュー |
| 前走の着順は関係ない | 前走1着は14頭中4頭だけ | ランド(前走12着)、ファルブラヴ(前走9着) |
| 遠征慣れ | その年に母国以外でも走っている | ランド、ウィジャボード、カランダガン |
| 4〜5歳・一流陣営 | 14頭中11頭が4〜5歳。デットーリ騎乗で3勝 | シングスピール、ファンタスティックライト |
| 高速馬場もこなす | レコード勝ちが2回 | アルカセット、カランダガン |
ジャパンカップで穴をあけた外国馬の傾向
14頭中7頭が6〜12番人気からの好走だった。外国馬は、日本では人気を落としやすい。そのなかでも、とくに大きな穴をあけた型がある。
前走が短距離戦の、キャリア豊富なセン馬
1999年のインディジェナスは12番人気で2着。前走は香港の1000m戦で10着、通算70戦のセン馬だった。2002年のサラファンは11番人気で2着。前走は米国の芝6.5F戦で4着、通算52戦のセン馬だった。
前走だけを見れば、2400mのG1で買える馬ではない。ところが2頭とも、2〜3走前には中長距離のG1で好走していた。インディジェナスは香港の2400mで2着、サラファンは米国の芝2000mのG1で2戦続けて2着。前走の短距離戦は、本番前のひと叩きにすぎなかった。
穴馬のパターンまとめ
| パターン | 該当例 | 内容 |
|---|---|---|
| 前走短距離のベテランのセン馬 | インディジェナス(1999年12番人気2着)、サラファン(2002年11番人気2着) | 2〜3走前に中長距離G1で好走。前走の短距離戦はひと叩き |
| 前走で負けた人気薄 | ランド(6番人気1着)、ストラテジックチョイス(10番人気3着) | 前走の着順で人気を落とすが、使ってきたレースの格は高い |
外国馬を買うかどうかのチェックリスト
| 確認すること | 評価 |
|---|---|
| 前走が英チャンピオンSかBCターフ系 | ◎ |
| その年に母国以外の国で走っている | ◎ |
| 4〜5歳 | ○ |
| 一流の調教師・騎手 | ○ |
| 前走は短距離戦で負け、2〜3走前に中長距離G1で好走 | 穴(2着候補) |
| 凱旋門賞から直行 | △(1番人気でも勝ちきれない) |
| その年の遠征経験がない | △ |
| 前走の着順 | 判断材料にしない |
まとめ
2025年のカランダガンは、英チャンピオンS経由、その年にUAEとイギリスへ遠征、4歳、一流陣営と、勝ち馬の条件をすべて満たしていた。20年ぶりの勝利で驚いた人も多かったが、中身は過去の勝ち馬と同じ、型どおりの勝ち方だった。
外国馬を買うかどうかは、凱旋門賞の着順や知名度ではなく、前走のレースと遠征の経験で決める。今年来日する外国馬も、このチェックリストに当てはめて評価する。